糸の撚と太さの関係、その相関を表す撚係数について。
 
【強撚と甘撚】
「きょうねん」、「あまより」と読みます。なぜか音読みと訓読み。繊維の糸の撚のことです。一般にはニットの糸は甘撚、サラッとシャリ感のある夏素材に強撚糸がつかわれます。
単位長さあたりの撚数で比較しますが、一般に綿糸の場合は1inch(2.54cm)間の撚数で評価します。inch間40回の撚数だとか。でもこの数字では、糸の太さが違う時に撚が多いか少ないかを評価できないのです。
 
なぜかというと、それは撚数は太さに反比例するからです。縫い糸としめ縄では単位あたりの撚数は当然縫い糸の方がたくさん入りますが、その回数が多いからと言って、単純に強撚といえないですね。
  
つまり、糸の太さで除した撚数で評価する必要があるのです。この指標を「撚係数」といいます。綿糸の場合、番手で太さを表しますが、100番手と50番手では50番手の方が倍の太さ(断面積)となります。つまり、番手とは面積のディメンジョンともいえます。
 
【撚係数】 
さて、撚数は太さに反比例するといっても、それは直径(半径でも同じですね)すなわち長さのディメンジョンと反比例の関係となるのです。だから番手の平方根で撚数を除した値を「撚係数」として、撚が多いか少ないかを評価することになるのです。
 
では、具体的に。
100番の糸に36回/inch、50番の糸に29回/inchの撚りが入っていた時、それぞれのより係数は36/√100=3.6、29√50=4.1となります。
つまり、この100番手の糸の方が甘撚となります。
 
【撚係数と甘撚、強撚】 
一般に、より係数が4を越えると織物の撚となり、5を越えるあたりから強撚と呼ばれ、ニットは3.6位のより係数が普通でこれを甘撚とも表現しますし、超甘撚だと3以下ということになります。